長期熟成酒研究会
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Vintage sake vol,33「もっと日本酒のPRを」
Vintage sake vol,33

「もっと日本酒のPRを!!」

 内閣総理大臣揮毫の額が清酒メーカーの事務所や蔵に掛けられている。国会議員の「励ます会」やパーティーに顔を出すと、清酒の姿はない。「清酒はあるの」と聞くと「今用意いたしますから」と、時間をおいて燗酒が出てくる。各地方の酒造家は資産家が多く、町の有名人である場合が多い。経済的に割高になる。

 谷公一衆院議員は今年4月、「宮中晩餐会等において用いられる酒類に関する質問主意書」を提出。これに対し、当時の鳩山由紀夫首相名で、外務省、在外公館での会食や晩餐会での乾杯の際に使用する酒についての回答書が出された。

 それによると、外務省本省が平成17~21年度の5年間に購入した日本酒の本数は737本。金額にすると190万9,927円だから、1本当たり2,591円。これに対し、ワインの購入本数は2500本。金額にすると1367万3181円だから、1本当たり5,469円。主要国首脳会議参加国に所在する日本国大使館では、日本酒1684本、732万8,285円、平均価格4,352円。ワイン1万9535本、5436万6024円、平均価格2,783円となっている。

 最も知りたい、国賓・公賓等が来日した際に天皇皇后両陛下が催される晩餐会や歓迎会の他、日本国内で開催される主要国首脳会議等の会食時の酒類に占める日本酒の割合が明確になっていない。

 各民族の伝統ある酒類についての知識が不足しているのではないだろうか。鎌倉時代から江戸時代に栄え、明治、大正、昭和の初めに造石税で消えてしまった熟成古酒だったが、戦後、復活している。

25周年記念イベントにて 1990年ごろ、ソムリエの田崎さんとフランスに出掛けた折には、メーカー流通業者の食事の席で25年前の濃熟タイプの古酒を使って、起立、献杯の礼を行ってくれた。

 2001年には、日本の清酒メーカー5、6社が自社の大吟醸・熟成古酒を持参し、フランス・モナコのワインメーカーが経営するレストランで「利き酒会」を開催した。「穀物が原料でなぜこんな香りが出てくるのか」「樽熟成でもないのにどうして発色があるのか」-。濃いルビー色の熟成古酒に対する質問は絶えなかった。そして、ロマネ・コンティの工場も見学したのだった。

 酒造会社、ワインメーカー間では、互いにその良さを認め合って研鑽している。日本の接待担当者よ、まずビックリするような良い熟成古酒を飲んでもらいたい。我々の先達が楽しんだ伝統文化を研究してもらいたいものだ。

 
 次回は、日本酒の伝統的熟成を促す日本の麹菌・アスペルギルス属オリゼの製造を紹介する。

(長期熟成酒研究会 顧問 本郷信郎)

Kyodo Weekly 2010.12.13号掲載

穀物原料でフルーツ様の香り…日本酒の素晴らしさに感激です。
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Vintage sake vol,32「伸長する清酒の輸出」
Vintage sake vol,32

「伸長する清酒の輸出」

 国内、昨年7月から今年6月までの1年間の清酒の課税移出は62万582klで、5年前と比べて11万5973kl減少である。その国の伝統の酒は、いずれも減る傾向にある。

 1956(昭和31)年度には4135あった日本酒製造免許場数は1944まで激減、実際に稼働しているのは1300程度となっている。2009年度の生産量は62万582klで、約35年前の1973年度176万6111klの35%になっている。

 一方、2000年の清酒輸出は7417klだったが、09年の1万1949klの161%。1L当たりの平均単価も406円から601円となり、次第に、数量とも高級酒に移る状況が出てきている。今年1~8月の数値は8706klで、5年前の137%。1L当たりの平均単価は612円で、5年前の104%。この円高の中での成績である。00年47ヶ国、04年49ヶ国、今年1月~8月で47ヶ国に輸出されている。

 和食は健康食として注目を集め、その伸びは日本酒にも通じ、米国が輸出全体の27%を占め、1L当たり平均単価も900円に近い。英国、オランダ、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、ブラジル、オーストラリア等への輸出も順調に伸びている。近年、最も伸びが目立つのは韓国。さらには中国、台湾、香港、ベトナム等東南アジアへの輸出も増えている。これ等も和食の伸びと関連していると思われる。

 しかし、例えば米国を見てもワインと比べれば、清酒の輸入量はまだまだ少ない。もっと伸びる余地を十分に残しているという。

スペイン 輸出を多く手掛ける東北のある会社は21ヶ国に輸出し、パリにはオール麹の酒、米国には大吟醸の熟成古酒とオール麹の酒を出している。新潟の会社は8ヶ国に輸出し、熟成古酒をドイツ、香港、シンガポールに。今年9月、ロンドンで開かれた世界の酒類審査会の熟成古酒部門でグランプリを獲得し、最近、台湾でこの酒の試飲が大きな評価を得たという。

 また、中部地方の会社は、輸出するのはすべて熟成古酒で、5ヶ国に輸出。米国には純米古酒を10年ぐらい前から輸出し、昨年秋のスペインでの世界料理大会にも出品している。輸出先は熟成古酒に何の抵抗もなく、市場はそのまま受け入れている。九州の会社は、9ヶ国に輸出し、1ヶ国に熟成古酒を輸出していた。熟成古酒の話題が多い国は、ノルウェーであるという。

 次回は、日本へ来る来賓への接待に使う酒について報告する。

(長期熟成酒研究会 顧問 本郷信郎)

Kyodo Weekly 2010.11.8号掲載

日本酒、そして熟成古酒が世界でもっと活躍してくれる事を期待します。応援よろしくお願いいたします!!
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Vintage sake vol,31「誕生年の熟成古酒」
Vintage sake vol,31

「誕生年の熟成古酒」

 結婚する2人の生まれ年のワインを探し出して、これを手元に置くことは珍しいことではなくなったが、生まれ年の熟成古酒を探し出すのはなかなか難しいのが日本の現状である。

 結婚の平均年齢も遅くなり、熟成期間が40年近い日本酒は希少、貴重である。もちろん一般販売は中止になっており、メーカーか、古酒流通ルートをたどって掘り出すしかない。

 今回ご紹介するのは、栃木県足利市に住む大塚さん夫妻の結婚式。ワインセラーを作った祖父を持ち、伯母が料理学校経営という家庭環境の中、あるウエディングプランが浮かび上がった。

 地中海に面したフランスとイタリアとの国境・コートダジュールの落ち着いた町「マントン」。2人はジャンコクトーがデザインした市庁舎の一室、サロン・ド・マリアージュで挙式、シャンパーニュで乾杯し、ハネムーンを楽しんだ。帰国後、日本で催した披露宴でも1989年のシャンパーニュ等で祝った。

 そして、2人は結婚を機に、濃熟タイプの昭和47(1972)年酒と昭和52(1977)年を探究することに。昭和47年モノの評価は8万5000円、昭和52年モノは3万5000円といわれる。地方の地酒さんにも何本か、貴重な熟成古酒が出来つつあるとみる。2人が希望する熟成古酒は「オールド・サケ・ギャラリー」(電話:03-3264-2695)が掘り出した。Vintage達磨正宗

 深いルビー色に染まる、濃熟タイプの熟成古酒に巡り合えた人は少ないだろうが、その落ち着いた香り、酸と甘味の調和、苦味の風格を添え、スッキリしたのど越し…。私は「帝王の酒」と呼んでいる。Vintageモノはセラーで保管。2人がめでたく銀婚式、金婚式を迎えた折に、開栓して誕生と結婚の時を振り返って堪能するのもよし、また、60年を超える古酒ともなれば、売って祝いの宴の費用に当ててもよし、である。

 最近、香港での熟成古酒の価格にはビックリさせられる。中国ではさらに拍車が掛かる。現在は限られた中での価値。上昇は大いに期待される。古く、中国では、娘が生まれると、紹興酒の蔵に、その年の酒を蔵の壁の中等に塗りこみ、結婚する時にその酒を取り出し売却、披露宴を盛大に行うとの話がある。

 日本でも、子供が生まれたら、自家熟成に挑戦するのもいい。誕生年の市販酒を、生まれた日の新聞紙で包んで紫外線をカット。化粧箱に入れ、立てたままの状態で戸棚に保管する。流れる月日の中でどんな熟成を見せてくれるのか。成人や結婚式に開栓し、包んでいた"古新聞"を読みながら、家族で杯を重ねれば、喜びを一層引き立ててくれるに違いない。

 次回は、世界の中の日本の酒について紹介する。

(長期熟成酒研究会 顧問 本郷信郎)

Kyodo Weekly 2010.10.11号掲載

思い出と共に成長する熟成古酒。開栓の時が楽しみなお酒ですね。
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Vintage sake vol,30「列島に様々な熟成酒」
Vintage sake vol,30

「列島に様々な熟成酒」

 長野の縄文時代のある遺跡から、我々の祖先が酒造りをしていたと思量される山ブドウの種が付いた土器が発見された。その後、この地で古伊万里の徳利の中に1689(元禄2)年当時の酒が見つかった。九州と長野の地、これらの陶器は全国に流通していた事になる。

 太平洋戦争後、清酒メーカーは戦中の統制からの復活を目指した。一時止められた市場の復活の一つとして、地方ごとに地酒の相互販売を始めた。銘柄はそれぞれ地方のものだったので、地方の有名な陶器の容器に詰めて出すことが多くなった。

 そうした中、陶器の焼成温度いかんでは、その後の酒の品質に大きな影響を与えることが判明した。焼成温度800℃以下では2、3年で酒が重い味になり、土の香りさえ感じる。焼成温度1800℃以上の磁器では、酒の熟成が進まぬことが分かり、1200℃前後の温度が良いとなった。

 岡山県の利守酒造「酒一筋」は、有名な備前焼作家である森陶岳氏に作ってもらった容量500Lの12の大甕(おおがめ)で熟成を進めている。その焼き窯の長さは約90Mになる。良い酒の熟成には、その酒の為の良い環境を作ってやることだといわれ、土との接点もまた然りである。

大智寺 岐阜市門屋門にある臨済宗の古い禅寺・大智寺は、緑濃い小山の中にある。寺の境内から清水が湧き出て、庫裏の下を流れている。"面壁九年蔵内十年"の熟成古酒「達磨正宗」はここから熟成呼び込んだのである。

 元禄時代から続く秋田県大仙市長野の「秀よし」。敷地内の古井戸での熟成を中断していたが、地元の酒販店と再構築に取り組み始めたという。雪深い田園地帯。頑丈な土造蔵と併せ、酒別の温度熟成も出来、里山の原風景の中での酒の誕生が待たれる。

 福岡県の旧JR矢部線の廃トンネルを活用しているのは、「杜の蔵」他9社の福岡銘酒会である。1986(昭和61)年から共同熟成をはじめ、酒造りの上手な渡来人・須々許里(すすこり)の名をとって純米古酒5年熟成の酒等を限定販売している。

 土を利用する熟成は補修との戦いでもある。自然の厳しさと優しさを食の中に、憩いの中に生かす努力は、ひとつのロマンである。

 今、世界の街で古い貴重な酒の発見が数々伝えられている。次回は、これらを追っている日本の若者の話を紹介する。

(長期熟成酒研究会 顧問 本郷信郎)

Kyodo Weekly 2010.9.13号掲載

陶器の焼成温度で熟成に影響が出てくるなんて驚きです!!
熟成させる容器が陶器の場合は、焼成温度にも気を使いますね。
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Vintage sake vol,29「鉱山坑、防空壕活用の熟成酒」
Vintage sake vol,29

「鉱山坑、防空壕活用の熟成酒」

 雪の積もる地帯の酒蔵の建物は頑丈である。1Mを超える積雪にも耐える必要がある。蔵内に張り出された大きな支柱は、心休まる美を有している。製造蔵として、あるいは貯蔵熟成蔵として百年単位の企業活動を守ってきた。

 盛夏に酒蔵に入ると、通常冷たい肌あたりを感じる。蔵元は日の出前に蔵窓を開け、日の出後に閉める、貯蔵熟成に最高の環境をつくるのが日課である。

 日本の南の地域では、昔から泡盛や焼酎の熟成古酒造りがあったとの一般認識があるが、北の地域ではあまり聞かない。

 1996(平成8)年ごろ、秋田県の北、尾去沢鉱山の廃坑跡で熟成古酒を造り、その柔らかな酒を東北の観光地の一流ホテルや旅館で提供するという試みから熟成を始めた。当時、北海道東北開発金融公庫の支店長を中心に、宮城の「一ノ蔵」と地元の「千歳盛」が東北古酒研究会に参加。「一ノ蔵」は山廃を中心に、「千歳盛」は吟醸中心に熟成を始めたと聞く。

 山形県酒田市にある山居倉庫は、国の米蔵として有名である。土蔵倉で屋根は湿気防止のための二重構造となっており、さらにこれら倉庫群を大きな欅(ケヤキ)並木が覆うことで、いわば三重の屋根を形成している。この一角を借り受けて、酒販店木川屋が2000(平成12)年から「初孫」「栄光冨士」を720ml、4000本を毎年積み上げ、夏は13℃、冬は10℃で熟成。他に「古酒二十歳の会」を主催し、これには他の地元銘柄も熟成させ、古き伝統に挑戦している。

 戦争は、多くの防空壕や防空壕工場を残した。地方の酒造家の防空壕の多くは、四囲の山を横に掘って、人が隠れるだけのものから、瓶詰め、甕(カメ)詰めの酒の貯蔵、そして木桶貯蔵までが可能な大きさまであり、それを今も生かしているメーカーが数々ある。

洞窟 小さな防空壕の中での酒甕としては、岡山の「酒一筋」の蔵元、利守酒造等。洞窟をそっくり熟成庫とする栃木の「東力士」の蔵元島崎酒造では、消費者の熟成希望を受け、受託熟成まで行っている。壕には現在約13万本の酒が熟成の眠りについており、5年、10年、20年の委託契約が行われている。1.5Lボトル1本当たり5年で1万円、10年で1万5000円、20年預かりで3万円(税、送料別)で行われ、オーナーズカードが発行される。

 吟醸などの熟成温度10~13℃は、やや低めにあたる温度で、引き取って飲むまでは15~18℃の土蔵の蔵内常温といわれる温度帯でならすと良い。引き取った後の温度処理により、我が家の本当の味を造る楽しみがある。熟成は千差万別である。我が家の家の味を造りたい。

 次回も千差万別な熟成を掘り下げてお話ししたい。
オーナーズボトル


(長期熟成酒研究会 顧問 本郷信郎)

Kyodo Weekly 2010.8.9号掲載

日本各地の防空壕や鉱山跡の再活用…いいですね!!
洞窟内の温度が一定していることも熟成に適する一因なんでしょうね。
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